9.26.2007

バルサvsセビリア、不調の根源は。

遠い異国の単なる一視聴者には如何ともし難い「現地権利元の都合」と呼称される複雑な事情(詳細はリーガ・ブログ・ドットコムの「マドリーダービーが放映されなかった事の真相」参照)で、極端に放映されるゲームが減った今期のリーガ・エスパニョーラ。特にマドリーやバルセロナのゲームの放映がないのがつらい。いっそのことWOWOW辞めてスカパー!にしようか、とも思ったがやっぱりリーガが好きだし、映画と海外ドラマで十分元をとっている気もするので、とりあえずWOWOWを応援しようと思っていたら、急遽「バルセロナvsセビリア」の放映が決定。

今期、バルサ初観戦。しかも相手はバルサに劣らぬスペクタクルなフットボールで昨シーズン、一気に欧州のTOPグループにのし上がってきたセビリア。好カードに期待はいやが応にも高まる。だが・・・いささか期待はずれなゲーム内容だった。

理由はいくつかある。セビリアが今シーズン初のカンプ・ノウでのアウェイゲームということで、慎重(守備的)なゲーム運びに終始したこともあるが、それよりもホームの声援をバックに責め立てるはずのバルサの攻撃が、コンビネーションの面であまりにお粗末だった。今シーズン、アウェイで勝ちきれない、何より内容が良くない、という評は耳にしていたが・・・CLの対リヨン戦はたまたま調子が良かったんだろうか?

まずビルドアップの段階においてはマルケスの不調が目立った。昨シーズン中盤からどうも良くない。05-06シーズン、あれほど正確無比だった高速ロングフィードは一体どこに?全てが力任せな感じで、あの軸足を落としたバネのあるフォームは見られない。ショートパスもいくつかカットされる体たらくで、安定感溢れるG.ミリートがいなかったら、結構危なかった。後半のCKに頭であわせたプレイとアンリに通したロングパスには好調時の面影を少し感じられたが、このままではプジョルの復帰で控えに回される可能性は高いと見た(もしかしたらそれが不調の原因?)。

次に中盤。まずシャビ。球離れが好調時にくらべ1テンポ遅くラストパスが通らない。カットされたボールを追いかけて体力を消耗し、もっと遅くなるという悪循環。本人もイライラしていたが、利き足だけでなく左足でもボールを散らせるようにならないと、プレッシャーのきつい相手には難しいのではないか。現時点では少なくとも確実に一人をかわして数的有利をつくれるイニエスタ先発の方がいいんじゃないかと思った。
次にデコ。彼もいまいち本調子ではないように思えた。守備では相変わらずいいところにポジショニングして、時には反則覚悟で攻撃の芽を摘むという玄人仕事を見せていたが、攻撃面ではいまいち。ミドルシュートはもちろん、相手を引きつけてから中、あるいは逆サイドに放るクロスボールに勢いがない。セビリアのDFラインの頭を越えないことも何度かあった。

ビルドアップの起点が不安定で、かつ司令塔も不調。これがバルサのコンビネーションを狂わせていたように見えるが、ゲーム全体を通じて、結局のところ一番の原因は頭(先頭)にあったと思う。

頭、すなわちCF。この日1トップに位置したアンリの動きが、中盤から前のコンビネーションをボロボロにしていた。

彼はバルサのゲーム展開の中で、まだ1タッチでボールをさばけない。バルサがバイタルエリア付近でCFにボールをあてるときは、それまでの緩いパス回しから一気にペースアップしてゴールに襲いかかるタイミングなのに、彼はアーセナル時代に味方の攻め上がりを待つために行ったようなボールキープをしてしまい、ペースを逆に落としてしまう。
そして序盤でそのプレースタイルを看破したセビリアは、アンリおよびアンリへのパスコースに激しくプレッシャーをかけ始め、自分でスペースを作る動き方を知らないアンリは、苦しい体勢でしかボールを受けられずボールを失う回数が増える。ボールを失ったり、あるいはパスをカットされたりするアンリに対してボールを出すタイミングを失った中盤のパサー達は、ボールの出しどころがなくなり、自らドリブルで切り込み消耗、余計パスが出せなくなる。

彼のストライカーとしての能力には疑問はないが、スペースを与えてこその選手であるような気がする。リーガで、いやバルサで彼がその能力を発揮するには、バルサのスタイルに適応する必要がある。

たとえば、バルサのようにフィールドのどのエリアでも三角形をつくり出すポジショニングを標榜するチームは、逆に相手DFも狭い範囲に密集することが多い。つまりスペースがない。そうした場所では1タッチで三角形のどの頂点にボールをはたくか、あるいはいずれかの辺をドリブルで突き破るかを瞬時に判断する必要があるが、アンリにはまだそれができていない。

たとえば、バルサのように正確なロングフィードが飛び交うチームでは、一瞬でサイドが変わる。CFは真ん中でウロウロしているだけではなく、相手の目が左右に動いている間に上下の動きを組み合わせて自分や2列目の選手のマークを外し、サイドからのパスコースをつくることが求められる。が、アンリにはまだそれができていない。

課題は多い。ただ後半、シャビと後退でピボーテに下がったイニエスタに代わって左FWに位置したアンリは、得意なスペースを手に入れて「らしい」プレイをそこここに見せた。先制点のアシストはスピード、コースとも素晴らしいものだったと言えよう。

しかしFWの左サイドは本来ロナウジーニョのもの(今回は休養のため欠場)。もしアンリがプレイスタイルの変更に時間がかかるようであれば、ロニーを中央に置いてアンリを左に張らせた方がいいような気がする。右メッシ、左アンリ。それはそれで対戦相手には恐い組み合わせだろうし。

バルサも変わらず好きだが、今回は実はセビリアを応援していたボク。D.アウベスが途中降板したのは残念だった。最初からケルジャコフがいればとも思うが、ヘスス・ナバスもよく頑張った。次戦に期待したい。なのでちゃんと放映されますように。